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「住」という漢字

2023.08.27

 漢字の歴史は古く長いので、同じ漢字でも時代や地域によって意味する範囲が違うことが多々あります。

 例えば「住」という漢字ですが、日本語の中ではほぼ動詞「住む」か名詞「住まい」という生活感のある意味で使われているのに対し、中国語には、“保不住”、“瞒不住”、“拦住”等、住むこととは無縁の使われ方もあります。

 白川静博士の『字通』で「住」を見ると、字形は形声で「声符は主。主は灯盞(とうさん)の台、柱立するものをいう。柱立して、その一処に止まる意がある。古い字書にみえず、六朝期に至って用いられる。」と説明されています。
 つまり、「とどまる」という意味が中心にある漢字なのです。

 六朝期以前には無いということですが、それ以前の中国古代の遊牧民族や騎馬民族の「移動」という生活スタイルがあったからこそ、「とどまる生活」というものが意識され、「住」という字に生活感が結びついたではないかと想像するのも楽しいものです。

 狭い山国の日本では遊牧という生活スタイルは一般的ではなく、移動することと住むことが結びつきにくかったでしょうから、この字が日本に伝わったときには当然のように生活の場としての「住」が優先的に日本語に組み込まれたのではないでしょうか。

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